
TU-879Sは真空管を差し替えて音の違いを楽しめるのが特徴
ここでいう真空管とは、特に出力管のことで
OriginalのElectro Harmonics製の6L6GCを
他メーカーの6L6GCに挿し替えることができるだけでなく
いわゆるビーム管、5極管のメジャーどころである
KT88、EL34(6CA7)KT66、5881、7581A、6GB8などに
挿し替えても問題なく動作可能に設計されているということ
最適設計は6L6GCに設定されているようで
より大出力のKT88やEL34では出力が若干低めのポイントで動作するので
最大出力は定格値より低くなるが、十分に使えるとのことだった
Webの情報などを調べてみると、
6L6GCの軍用管である7581Aの評価が高いようだったので
(価格も若干高くペア1万円ほどしたが思い切って入手し)
まずは、7581Aで音の違いを試してみることにした
7581AはPhilips/Sylvania社製の6L6GCのミリタリーグレード
(軍用に使用範囲を広げ信頼性を向上させた)の真空管
すでに現行管はなく軍の予備用としてメーカーにストックされていたものが流出し
2006年当時はまだ市場に出回っていた
このように製造時期は古いが未使用でストックされていたものを
New Old Stock品(NOS品)と呼ぶ
TU-879Sで初段管を、現行管ではお気に入りのSOVTEK 12AX7 LPSとして
出力管をこの7581Aに差替えてみたが
期待を込めたわりに結果はいまひとつ・・・
高音域の解像度は上がったような印象だが、
ボーカルやサックスの主音域である中音域が引っ込んでしまい、
遠くのほうで演奏しているような感じになる
また低音の量感も少ないので、音全体に元気がない・・・
巷での評判とはあまりに違いすぎ、
高評価をした人の耳がどうかしていたのかと疑いはじめたが
今ここでの現象と、複数の方の評価結果のどちらを疑うべくは明らかで
ひょっとして「はずれの真空管」を掴まされてしまったのかと
あらぬ疑いをかける始末・・・
結果的にこれは「時間が解決する」問題であったのだが
当時は、続けて差し替える球が控えていたこともあり、
この問題を保留したまま、ほかの球に差替えて試してみた
・・・NOS管はエージングが進まないと本領を発揮しないものであることを
知らなかった頃の話である(200時間ほど使用すると、低域から高域までの
バランスが良くなり、レンジ全体に対して密度高く艶のある音を出してくれた)

ひとまず7581Aショックは横へ置き、次に試してみたのは
Original 6L6GCと同メーカーElectro Harmonics製のKT88
KT88は、30年前もうすでにオーディオアンプの趨勢は石へと変わっていた時代でも
過去アンプ用の出力デバイスとして花形だったとしてその威容を保っていた
ある意味あこがれの球の一つだった(KT88を東大関としたら、西大関は2A3か、
もちろん横綱は一人横綱300Bだが・・・)
写真のKT88は現行管であるものの、その大きさは6L6GCより二回りほど大きい印象で
なんとも風格があるものだと感じた。
差し替えた音の印象は、まず低音のパワーがある
まるで低音をトンコンでグンと上げたような印象
出力管の種類を替えるというのは、
こんなにも違いを生むものなのかと驚いた
しかし動作条件が定格から外れているのが原因か
ズンズンと響く低音は気持ちよいのだが
中高域が若干歪みっぽい音の印象で
さわやかな高域の伸びが感じられず、
全体的に少し粗削りな音である

JJ E34L(blue)は重心が高く

Sovtek KT66は中国的だった
TU-879SはOriginalの6L6GCで作りこまれていると結論づけた

ただし、EH 6CA7はEH 6L6GCとよく似た音色を力強く鳴らしてくれた
製造方法が似ているのかも
★2006/9/15 酷使していたわけではないが、
Originalの6L6GCが一本不調に・・・
信頼性はまだまだ低いか中国製、という印象が・・・